産廃マニフェストの書き方|自社運搬時の記入例と確認項目
自社の車両で処分業者へ持ち込む場合も、処分を他社に委託するなら紙マニフェストの交付が必要です。排出事業者が記入する欄を東京都の記入例に沿って確認し、自社運搬のときに書き方が分かれる運搬受託者欄の扱いを整理します。
この記事の結論
- 運搬が自社でも、処分を他社に委託するならマニフェストを交付します。運搬から処分まで自社で行う場合は交付義務がないと、新潟市のQ&Aに示されています。
- 排出事業者が書く欄は、交付年月日から処分受託者までです。東京都の記入例では、引き渡す時に記入した上で交付するとされています。
- 自社運搬時の運搬受託者欄について、紙マニフェスト本体の書き方を定めた記載は、今回読んだ公的資料に見当たりません。交付前に処分業者と管轄自治体へ確認する方法があります。
- 栃木県のQ&Aでは、年1回の交付等状況報告書に「自社運搬」と記載し、運搬受託者の許可番号欄は空欄にするとされています。
自社のトラックで処分業者へ持ち込む場合も、処分を他社に委託するなら紙マニフェストを交付します。新潟市の「産業廃棄物管理票(マニフェスト)交付等状況報告書Q&A」(平成29年4月)のQ3に、この扱いが書かれています。排出事業者が書く欄は、交付年月日から処分受託者までです。自社運搬で書き方が分かれるのは運搬受託者の欄で、ここは交付前に確認する項目になります。
自社運搬でマニフェストが要る場面と要らない場面
新潟市のQ&AのQ3は、2つの場面を分けています。自ら排出した産業廃棄物を自ら処理したものは、マニフェストの交付義務がないとされています。一方、自ら運搬した後に運搬又は処分を他者に委託する場合は、受託者に対して交付する必要があるとされています。
自社で判断するときは、処分を誰が行うかを先に確認します。処分まで自社で行うなら交付の対象外で、処分業者に引き渡すなら交付の対象です。栃木県の「産業廃棄物管理票(マニフェスト)交付等状況報告に関するQ&A」のQ1-2でも、自ら運搬した廃棄物の処分を中間処理業者や最終処分業者に委託する場合は、年次の報告が必要とされています。
排出事業者が記入する欄と法定記載事項
マニフェストの様式は環境省令で定められています(施行規則第8条の21第2項)。東京都環境局の排出事業者向けガイドブックは、資料5で記載事項を12項目に整理しています。このうち排出事業者が引き渡し時に書くのは、同資料の記入例で赤字になっている次の欄です。
- 交付年月日と交付番号を記入します。
- 交付担当者の氏名を記入します。
- 事業者の氏名又は名称、住所、電話番号を記入します。
- 廃棄物を排出した事業場の名称と所在地を記入します。
- 産業廃棄物の種類、数量、荷姿を記入します。
- 最終処分の場所の所在地を記入します。
- 運搬受託者、運搬先の事業場、処分受託者の名称と所在地を記入します。
「運搬の受託」「処分の受託」「最終処分を行った場所」の欄は、同資料の記入例で収集運搬業者と中間処理業者が記入する欄として示されています。排出事業者は空けたまま交付します。
書き間違いが出やすい欄について、同資料は次のように説明しています。交付番号は、事業者がそのマニフェストを特定できる任意の番号です。市販品にはあらかじめ番号が打刻されているものがあり、その場合は整理番号欄を使う方法が紹介されています。交付担当者は会社名や代表者名ではなく、実際に立ち会って引き渡しを担当した従業員の氏名です。
種類は産業廃棄物20品目から該当名を選びます。数量の単位は規定されておらず、重量(kg、t)、容量、個数のいずれでも書けると同資料にあります。ただし行政の調査は重量を基本とする場合が多いとも注記されています。荷姿は、コンテナ、バラ、ドラム缶、ポリ容器など具体的に書きます。
自社運搬で処分を委託する場合の記入例
東京都資料の記入例は、廃プラスチック類1トンをコンテナ入りで引き渡す設定です。この設定を借りて、工場から処分業者の施設へ自社車両で運ぶ場合の書き方を、欄の順に並べます。社名と所在地は架空の表記です。
- 交付年月日には、処分業者の施設で廃棄物を引き渡す日を書きます。
- 交付番号には、打刻済みの番号があればそのまま使い、無ければ「本社工場1」のような自社の通し番号を書きます。
- 交付担当者には、持ち込みに立ち会う従業員の氏名を書きます。
- 事業者には自社の名称と本社所在地を、事業場には廃棄物が出た工場の名称と所在地を書きます。
- 種類は「廃プラスチック類」、数量は「1トン」、荷姿は「コンテナ入」と書きます。
- 最終処分の場所には、委託契約書に記載された最終処分先の所在地を書きます。
- 運搬先の事業場には、持ち込む処分業者の施設の名称と所在地を書きます。
- 処分受託者には、処分を委託した業者の名称と住所を書きます。
- 運搬受託者の欄は、次の節の確認を済ませてから書きます。
複数の種類を同じ日に持ち込むときは、種類ごとに1枚ずつ交付します。東京都資料は「産業廃棄物の種類ごと、行き先ごとに交付」と説明しています。栃木県のQ&AのQ2-8も、種類ごとの交付が法令上の義務であると示しています(施行規則第8条の20第1号)。
運搬受託者欄の書き方は交付前に確認する
自社運搬のときに紙マニフェスト本体の運搬受託者欄をどう書くかを定めた記載は、今回読んだ東京都、栃木県、新潟市の資料には見当たりません。確認できたのは、年1回提出する交付等状況報告書の書き方です。
栃木県のQ&AのQ1-2とQ2-10では、報告書の「運搬受託者の氏名又は名称」欄に「自社運搬」と記載するとされています。同じQ&AのQ2-9では、自社運搬の場合は運搬受託者の許可番号欄を空欄にするとされています。報告書とマニフェストの記載を揃えておくと、年度末の集計で突き合わせがしやすくなります。
マニフェスト本体については、運搬受託者欄に「自社運搬」と記す書き方が候補になります。「運搬の受託」欄の受領印を誰が扱うかも、公的資料では確認できていません。この2点は、持ち込み先の処分業者と、事業場を管轄する自治体の窓口に聞いて決める方法があります。
交付した後に照合する日付と保存期間
東京都資料によると、運搬又は処分を終了した日から10日以内に、マニフェストの写しが委託業者から排出事業者に送付されます。写しが届いたら、手元の控えと種類、数量、処分終了年月日を照合します。保存期間は同資料の図に5年間と示されています。
年度が終わると、交付等状況報告書の提出があります(法第12条の3第7項)。東京都資料では、前年度4月1日から3月31日までに交付した分を事業場単位でまとめ、毎年6月30日までに提出するとされています。電子マニフェストを使った分は、情報処理センターから行政に報告されるため提出義務がないと同資料にあります。
マニフェスト運用チェックリストは、記入を終えて交付する直前の欄の点検に使えます。写しが戻ってきた時点で、照合と保存の記録を残す用途にも向いています。
持ち込み前に処分業者と自治体へ確認する3項目
最初の持ち込みの前に、次の3点を電話か窓口で確認します。回答は、日付と相手先の部署名を添えて控えのファイルに残します。
- 自社運搬の場合に、マニフェスト本体の運搬受託者欄へ何を書くか。
- 「運搬の受託」欄の受領印と運搬終了年月日を、誰が記入するか。
- 交付等状況報告書の提出先が、都道府県と市のどちらになるか。
3点目は事業場の所在地で変わります。新潟市のQ&AのQ1では、市内で排出された分は新潟市へ、市を除く県内で排出された分は新潟県へ報告すると分けています。
この記事の内容を、そのまま社内の確認に使える記入用チェックリストにしています。
マニフェスト運用チェックリスト
manifest-unyou-checklist.pdf PDF A4・2ページ
配布物と検算ツールの一覧はツール・資料にあります。
参照した資料
資料 東京都環境局 排出事業者向け産業廃棄物ガイドブック「資料5 マニフェスト(産業廃棄物管理票)」 (26〜31ページを参照。省令様式、記載事項12項目、記入例(図.10)、交付番号・交付担当者・種類・数量・荷姿の説明、種類ごと行き先ごとの交付、10日以内の写し送付、5年間の保存、交付等状況報告書(6月30日まで)。冊子の正式名称と発行年月は参照した抜粋からは確認できていません。)
資料 栃木県環境森林部資源循環推進課「産業廃棄物管理票(マニフェスト)交付等状況報告に関するQ&A」 (Q1-2、Q2-8、Q2-9、Q2-10を参照。自ら運搬した場合の報告要否、報告書への「自社運搬」の記載、許可番号欄の空欄、種類ごとの交付。作成時期は資料本文に記載がありません。)
資料 新潟市「産業廃棄物管理票(マニフェスト)交付等状況報告書Q&A(新潟市版)」 (平成29年4月。Q1(報告先の区分)、Q3(自己運搬した場合のマニフェスト交付義務と報告書の記載)を参照。)