許可・制度 手順・チェックリスト

産業廃棄物の運搬許可が不要なケースと自社運搬の条件

公開

産廃台帳編集部

自社の産業廃棄物を自社で運ぶ場合、収集運搬業の許可は要りません。そのかわり、運搬基準、車両の表示、書面の備え付けが求められます。条文の範囲と、運ぶ前に確かめる項目を順に整理しました。

この記事の結論

  • 許可が不要になるのは、自社が出した産業廃棄物を自社で運ぶ場合です。取引先や別法人の廃棄物を一緒に運ぶときは、この区分に当たるかを管轄の自治体に確かめる方法があります。
  • 許可が不要でも、収集運搬基準は適用されます。車両両側面の表示と書面の備え付けも、平成17年4月1日から求められています。
  • 建設工事の廃棄物は元請業者が排出事業者です。下請負人が運ぶ場合、許可なしで運べるのは、請負代金500万円以下などの特例の要件をすべて満たすときに限られます。
許可不要の根拠 廃棄物処理法 第14条第1項ただし書き
自ら運搬で守る基準 同法 第12条第1項(産業廃棄物処理基準)
車両表示の文字 「産業廃棄物収集運搬車」140ポイント以上・それ以外90ポイント以上
下請負人の運搬特例 請負代金500万円以下の維持修繕・瑕疵補修工事、1回1立方メートル以下 ほか

収集運搬業の許可が不要になる3つの区分

廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)の第14条第1項は、産業廃棄物の収集・運搬を業として行う者に、都道府県知事の許可を求めています。同じ項のただし書きが、許可の対象から外れる者を3つ挙げています。

  1. 事業者が自らその産業廃棄物を運搬する場合
  2. 専ら再生利用の目的となる産業廃棄物のみの収集・運搬を業として行う者
  3. その他環境省令で定める者

排出事業者の実務に直接かかわるのは1つ目で、自社運搬や自ら運搬と呼ばれます。2つ目は回収を引き受ける側の区分で、3つ目の範囲は環境省令で個別に定められています。特別管理産業廃棄物の収集運搬業は、第14条の4に別の規定があります。

自ら運搬に当てはまるかを確かめる項目

条文の文言は「自らその産業廃棄物を運搬する場合」です。自社の事業活動から出た廃棄物を、自社で運ぶことが出発点になります。運ぶ前に、次の項目を確かめる方法があります。

  • 積む廃棄物は、自社の事業活動で生じたものに限られているか。
  • 取引先や関連会社など、法人の異なる相手の廃棄物を一緒に積んでいないか。
  • 運転や積み込みを社外の者に頼む予定はないか。
  • 特別管理産業廃棄物が含まれていないか。
  • 建設工事の廃棄物の場合、自社が元請業者に当たるか。

同じグループの会社でも、法人が別であれば「その産業廃棄物」に当たるかが論点になります。運転を外部に頼む場合も、運搬しているのが誰かという点で扱いが変わる可能性があります。判断に迷うときは、事業場を管轄する都道府県または政令市の廃棄物担当課に、品目・量・運搬先を伝えて確かめるという選択肢があります。

許可が不要でも適用される収集運搬基準と車両表示

第12条第1項は、事業者が自ら産業廃棄物を運搬する場合に、政令で定める産業廃棄物処理基準に従うよう定めています。許可の手続きが要らないだけで、運び方の基準は許可業者と同じく適用されます。飛散や流出を防ぐ積み方、運搬中の扱いがこの基準に含まれます。

宮城県の案内によると、平成17年4月1日から、自ら運搬する排出事業者にも車両への表示と書面の備え付けが求められています。表示は車両の両側面に行い、直接の塗装のほか、走行中にはがれないマグネットシートも使えます。同じ案内では、「産業廃棄物収集運搬車」の文字を140ポイント以上、それ以外の文字を90ポイント以上としています。

車両の表示と書面は、次の内容で点検できます。

  • 車両の両側面に、産業廃棄物の収集運搬車である旨を表示しているか。
  • 同じく両側面に、自社の氏名または名称を表示しているか。
  • 備え付ける書面に、自社の氏名または名称と住所を書いているか。
  • 運搬する産業廃棄物の種類と数量を書いているか。
  • 積載した日と、積載した事業場の名称・所在地・連絡先を書いているか。
  • 運搬先の事業場の名称・所在地・連絡先を書いているか。

建設工事の廃棄物は元請業者が運搬の主体になる

宮城県の案内では、建設工事から出た廃棄物は元請業者が排出事業者になると説明しています。根拠は廃棄物処理法第21条の3第1項です。元請業者が自社で運ぶ場合は自ら運搬に当たり、下請負人が運ぶ場合は原則としてこの区分に入りません。

例外として、第21条の3第3項は、一定の要件を満たす場合に下請負人を事業者とみなし、自ら運搬として扱えるようにしています。宮城県が示す要件は次の6つで、すべてを満たすことが条件です。

  1. 請負代金の額が500万円以下の維持修繕工事または瑕疵補修工事に伴う廃棄物であること。
  2. 特別管理一般廃棄物と特別管理産業廃棄物を含まないこと。
  3. 1回あたりの運搬量が1立方メートル以下であることが明確であること。
  4. 運搬の途中で保管しないこと。
  5. 運搬先が、元請業者が所有または使用権原を持つ場所で、工事現場と同じ都道府県か隣接する都道府県の区域内にあること。
  6. 元請業者と下請負人が作成した別紙と、請負契約書の写しを携行すること。

別紙には、廃棄物が生じる事業場の位置、廃棄物の種類と量、運搬先、運搬期間などを書きます。宮城県の案内によると、様式は平成23年2月4日付の環境省の施行通知で示されています。新築や解体の工事は、1つ目の工事の種類に当たりません。

専ら物だけを扱う回収業者の許可

神奈川県の案内では、専ら物を古紙、くず鉄(古銅を含む)、あきびん類、古繊維の4種類としています。同県は、専ら物のみの収集運搬を業として行う場合は許可が要らないと説明しています。根拠として、令和5年2月3日付の環境省通知「専ら再生利用の目的となる廃棄物の取扱いについて」を挙げています。

同じ案内によると、再生利用されないと認められる場合は、この扱いから外れます。専ら物と他の産業廃棄物が混ざらない措置がとられていない場合も、許可が必要になります。専ら物の処理を委託する場合、マニフェストの交付は不要ですが、契約書の締結は必要とされています。

自社で運んで処分を委託するときの書類

自社運搬で許可が不要になるのは、運搬の部分だけです。運搬先の処分業者に処分を任せる場合は、処分の委託に当たります。処分業者の許可の確認、委託契約書の締結、マニフェストの交付が、運搬とは別に必要になります。

この場合のマニフェストでは、収集運搬の欄に自社を記入します。書き方は、自社運搬時の記入例をまとめた記事で確かめられます。運搬先が自社の保管場所や処理施設のときの書類は、自治体の条例で独自の様式を定めている例もあるため、管轄の窓口で確認する方法があります。

参照した資料

資料 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(e-Gov法令検索・デジタル庁) (第12条第1項(事業者が自ら運搬する場合の処理基準)、第14条第1項ただし書き(許可を要しない者)を参照)

資料 産業廃棄物運搬車への表示及び書面の備え付けの義務付け(宮城県) (平成17年4月1日施行の表示事項、文字の大きさ(140ポイント・90ポイント)、書面の記載事項を参照)

資料 下請負人による運搬の特例(宮城県) (法第21条の3第3項の6要件、携行書面、平成23年2月4日付環境省施行通知の様式を参照)

資料 専ら再生利用の目的となる産業廃棄物の取扱いについて(神奈川県) (専ら物4品目の定義、許可の要否、マニフェストと契約書の扱い、令和5年2月3日付環境省通知を参照)

資料 専ら再生利用の目的となる廃棄物の取扱いについて(環境省通知・令和5年2月3日付 環循適発第2302031号・環循規発第2302031号) (神奈川県の案内に記載された根拠通知。本文は神奈川県ページ経由で確認)

#自社運搬#収集運搬業許可#排出事業者#建設廃棄物

次にやること

自社運搬時のマニフェストの書き方を確認する

自社で運んだ廃棄物の処分を委託するときの、マニフェストの記入例と確認項目をまとめています。

記入例を見る

関連記事

許可・制度の記事一覧へ