廃油の処理費用相場|リットル・ドラム缶単価と引火点70℃の区分
工場や事業所から出る廃油について、行政が定めた標準の処理単価は見当たりません。公開されている料金表をリットル単位とドラム缶単位に揃え、引火点による区分の違いで委託先と書類がどう変わるかを確認します。
この記事の結論
- 東京都港湾局のサイトに載っている2026年版の料金表では、ビルジとタンク洗浄水が1KLあたり35,000円です。1リットルあたり35円、200Lドラム缶1本あたり7,000円が比較の目安になります。
- 同じ料金表の2024年版と比べると、石油系タンク洗浄水は約2.7倍に上がっています。前年の見積書や契約単価と比べるときは、見積書の日付を揃える方法があります。
- 引火点が70℃未満の廃油は、特別管理産業廃棄物の引火性廃油として扱われます。まず製品のSDSで引火点を確認し、委託先に特別管理の許可があるかを確かめる順番で進められます。
公開料金表から読む廃油の処理単価
東京都港湾局のサイトに、東京港の「廃油処理料金」表の2026年版が載っています。この表では、廃重質油のビルジと石油系タンク洗浄水がどちらも1KLあたり35,000円です。1KLは1,000リットルなので、1リットルあたりでは35円になります。同じ表で、流動性スラッジは1KLあたり25,000〜30,000円、海洋汚染防止法のXYZ類に当たる廃油は40,000円以上です。
油ウエスについては、同じ表に15リットル袋1つあたり3,500円とあります。この表は東京港で船舶から出る廃油を受け入れるときの料金です。工場の切削油や潤滑油の処理単価をそのまま表すものではありません。税込か税抜か、収集運搬費が含まれるかも書かれていません。
事業所から出る廃油について、行政が標準単価を定めた公的な資料は見当たりません。単価を数字で読める公開資料は少なく、この表は相場をつかむための手がかりの一つになります。
200Lドラム缶1本あたりに換算した目安
見積書の単位は、円/リットル、円/本、円/kgのように業者によって違います。並べて比べるときは、1本200リットルのドラム缶に揃えると数字を読みやすくなります。2026年版の料金表を200リットルあたりに換算すると、次の金額になります。
- ビルジとタンク洗浄水は1KLあたり35,000円なので、ドラム缶1本で7,000円です。
- 廃重質油の流動性スラッジは1KLあたり25,000〜30,000円なので、ドラム缶1本で5,000〜6,000円です。
- XYZ類に当たる廃油は1KLあたり40,000円以上なので、ドラム缶1本で8,000円以上です。
- ドラム缶5本は1,000リットルなので、1KLあたり35,000円の品目では合計35,000円です。
ドラム缶が満杯でない場合や、容器ごと引き渡す場合は、換算した金額と見積額が合わなくなります。容器代や容器の処分費が別に計上されているかは、見積書の内訳で確かめられます。kg単価の見積書は、油の比重によってリットル数との換算が変わります。そのため、リットル単価の見積書とは同じ物差しで並びません。
2024年版と2026年版の料金表の差
東京都港湾局のサイトには、同じ料金表の2024年版も残っています。2024年版では、石油系タンク洗浄水が1KLあたり13,000円、ビルジが15,000円、食用油タンク洗浄水が10,000円でした。2026年版では、この3品目がどれも35,000円になっています。
上がり幅は、石油系タンク洗浄水が約2.7倍、ビルジが約2.3倍です。油ウエスも、15リットル袋1つあたり1,500円から3,500円に変わりました。XYZ類に当たる廃油は、30,000円以上から40,000円以上に改められています。
前年の見積書や以前の契約単価と比べると、同じ品目でも今の水準とずれていることがあります。複数の見積書を並べるときは、発行日が近いもの同士で比べる方法があります。
引火点70℃未満の廃油は特別管理産業廃棄物になる
愛知県の資料「特別管理産業廃棄物の種類」は、引火性廃油を「産業廃棄物である揮発油類、灯油類、軽油類(引火点が70℃未満の廃油)」と整理しています。廃棄物処理法施行令は、燃えにくいものとして環境省令で定める廃油を、特別管理産業廃棄物の廃油から除いています。ガソリンや灯油、軽油の廃油は、この区分に入ります。
大阪府の「その他の特別管理産業廃棄物等のQ&A」のQ116は、法の趣旨から、引火点がおおむね70℃未満の液状の廃油を引火性廃油として扱うとしています。対象には廃溶剤も含まれ、メタノールなど引火点の低いアルコール類も特別管理産業廃棄物に準じて扱う必要があるとされています。同じQ&Aでは、他の廃油と混ぜて引火点を70℃以上に上げ、通常の廃油として処理することは認められていません。
引火点は、もとの製品の安全データシート(SDS)で確認できます。何種類かの油が混ざって引火点が分からない場合は、分析を誰が行い、費用をどちらが負担するかを見積もりの段階で決めておく方法があります。
特別管理になると変わる委託の手続き
特別管理産業廃棄物が出る事業場には、特別管理産業廃棄物管理責任者を置く義務があります(法第12条の2第8項)。神戸市のページ「産業廃棄物の処理方法(排出事業者の責務)」は、責任者の資格要件を施行規則第8条の17で確認するよう案内しています。
委託先は、特別管理産業廃棄物の収集運搬業・処分業の許可を持つ業者です。札幌市の「産業廃棄物委託基準」は、許可証の写しなどで許可の種類と事業の範囲を確かめる手順を示しています。同じページによると、委託前に、種類・数量・性状・荷姿・取り扱いの注意事項を委託先へ文書で知らせる必要があります(施行規則第8条の16)。
引火性廃油の処理単価を公表している公的な資料は見当たりません。通常の廃油の単価を引火性廃油にそのまま当てはめず、特別管理の区分で見積もりを取り直す方法があります。
見積もりの前に揃える確認項目
見積もりを頼む前に、次の項目を社内で揃えておくと、返ってきた見積書を同じ条件で比べやすくなります。
- 廃油の種類を製品名とSDSで特定し、引火点が70℃未満かどうかを記録する。
- 数量をリットルとドラム缶の本数のどちらで伝えるかを決め、見積書の単位を揃える。
- 引火性廃油に当たる場合は、委託先の許可証に特別管理産業廃棄物の許可と品目「廃油」があるかを確認する。
- 容器代、容器の処分費、分析費、収集運搬費が、処分単価とは別に計上されているかを内訳で確かめる。
- 見積書の発行日を確認し、古い単価と今の単価を並べて比べないようにする。
- 引火性廃油は、他の廃油と分けた容器で保管する。
最初の一手は、廃油になる製品のSDSを集め、引火点の欄を一覧に書き出すことです。
参照した資料
資料 東京都港湾局「19 廃油処理料金」2026年版 (廃油処理料金表(円/KL)。税込・税抜の別と収集運搬費の扱いは記載なし。2026年10月30日確認)
資料 東京都港湾局「19 廃油処理料金」2024年版 (2026年版との比較に使用。2026年10月30日確認)
資料 愛知県「特別管理産業廃棄物の種類」 (引火性廃油の定義(引火点70℃未満の揮発油類・灯油類・軽油類))
資料 大阪府「その他の特別管理産業廃棄物等のQ&A」 (Q116 引火性廃油の取り扱いと混合の禁止。2025年8月15日最終更新)
資料 神戸市「産業廃棄物の処理方法(排出事業者の責務)」 (特別管理産業廃棄物管理責任者(法第12条の2第8項・施行規則第8条の17)。2026年9月2日更新)
資料 札幌市「産業廃棄物委託基準」 (特別管理産業廃棄物の委託前の文書通知(施行規則第8条の16)と許可証の確認。2023年4月7日更新)